<<< 神奈川県勤労者山岳連盟・拡大遭対部会 >>> <<<アルパインクラブ横浜の鬼怒川野門沢における死亡事故について>>> 【日時】10月30日(火)20:00 【場所】横浜高島町・県連本部 【参加】 <連盟本部より> 会長:渡辺、副会長:入木田、村松 <遭対部より> 関谷(白嶺岳和)、大河内、宮沢(裏山探検隊)、 田村(相模労山)、鳥越(小田原ナーゲル) <アルパインクラブ横浜より> 会長:熊谷、副会長:小林、大江 (1)遭難事故の経過概要紹介    *鬼怒川支流・野門沢を詰めて女峰山へ突き上げる沢ルートへ単独入渓。    *出合より林道を登り、布引滝の中段にて死体で発見される。 (2)遭難者のプロフィール紹介    *27歳・男性    *5年ほど前から通常の山行に親しみ、ここ2年ほどは岩・沢が多い。    *勤務が不規則で平日・単独山行が多かった。    *2001年7月に奥多摩の沢で1.5mほど落下・脱臼の自己経歴あり。    *2001年9月に谷川岳一ノ倉沢南陵、中央稜にて下山遅れの経歴あり。 (3)捜索の方針と体制    *今市警察署地域課と打ち合わせ    *栃木県には山岳警備隊が無いので山岳会が中心になって捜索する    *民宿村駐車場で遭難者の車を発見    *砂防ダム工事の林道に入り、遊歩道を布引滝まで降りて捜索    *布引滝にて遺体発見 (4)遭難現場の状況    *滝右手50m岩峰をトラバース途中に滑落した?    *靴が飛び、大型ザックの肩ひもが切れるほどの衝撃    *大量の出血。身体の四肢は衝撃で複雑骨折していた。    *ゴムボートに遺体を乗せて滝の基部まで降ろし、防災ヘリで搬送。 (5)事故に関する考察    *野門沢には一度入渓したことがあるので、会は入渓をOKした。    *なぜか沢靴ではなく登山靴を履いていた?    *なぜかヘルメットは車に置いたままだった。(気のゆるみ?)    *布引滝から入渓の予定が、アプローチ道を間違えて、ひとつ手前の 滝の下に降りたらしく。時間のロスと焦りがあり、 暗くなっていた16:30に布引滝の高巻きを開始したと推測される。    *遭難者の性格分析 →自己の登山スタイルに対するこだわりが強く、情熱的な反面  慣れによる油断(?)から来る小アクシデントの連続、  無届けで谷川岳岩壁登攀を行うなどの身勝手さも見られた。    *事故直前までの会の傾向と対策 遭難者だけでなく、通常の会員でも計画書の提出遅れや、 小アクシデントの連続があり、「ヒヤリハットの法則」に 危機感を感じた山行管理部が安全意識を高める記事を 会報誌に出していた。 (6)遭難防止に対する今後の会の取り組みについて    *計画の妥当性の検討を十分するために、計画書事前提出の徹底    *捜索活動において、アプローチの方法は重要である。 特に自動車の車種・色・ナンバーなどは重要。計画書に明記する。    *山行ガイドラインの見直し。 →単独で沢に入るため必要な装備・知識・経験とは?    *会員同士、問題点を指摘しあえる雰囲気を作る。 「ヒヤリハット」は(まあ無事で良かった)ではなくしっかり議論する。    *「自己責任」の意味について。 ・計画書をきちんと書き、周囲の人を安心させる。 ・家族に自分の登山観などを話し、  万一の時のことについて話し合っておく。 ・「自分の力でやっている」と自分勝手に振る舞うのが自己責任ではなく、  自分のお世話になっている方々への「責任」であることを再認識する。 <所感> ※ 分析を進めると、「事故は偶然ではなく必然として起こる」という感が否めない。   それは技術的な問題ではなく、性格、精神的な面が大きいと感じた。 ※ 「難しい滝は巻けばよい」とは限らない。高巻きの危険性を再認識! ※ 一度行った沢だから大丈夫、とは限らない。天候季節によって状態は変わる。 ※ 上手いから大丈夫、とは限らない。「慣れ」から来る慢心が怖い。 ※ 登攀技術よりも、自分の置かれている状況を冷静に判断する、   危険を察知して撤退する能力、そして「心構え」こそが大事だと感じた。 ■ 以 上 ■